マンチェスターで家探し〜その4〜

Day 11

その後、少し忙しくてなにもしないまま2日ほど過ぎてしまった。朝起きて、さぁ困ったと思っていたところTimから連絡あり。ガソリンスタンドの隣のビルでもう一部屋空きがでたらしい。うーん。あそこは場所が。

そんなことを言ってたら、何日か前に留守電を残していた物件の内見が今日できるという連絡。

この家のことはすっかり忘れていた、というのも、そもそもインターネットに載っている写真には大昔の車が映り込んでいて、いつ撮ったのかもわからないような物件だったので、やる気がないんだろうなと思ってあまり期待していなかったのである。



しかし、いまやもうあとがない。「はい!いますぐ行けます」と答えてすぐ出かける。奇しくも、コカ男の部屋の真向かいの建物。


トラムの駅、バス停、カフェやスーパーなどの店がすべて近くにあって場所だけでいえば絶好である。


West Didsbury、月950ポンド(約18万円)、1ベッドルーム家具あり


物件前で白髪の高齢男性ジョージと待ち合わせる。


妻のGoogleリサーチ情報によると、この不動産屋はエドワードとジョージという2人だけでやっている小さな業者で、客からの内見の問い合わせを徹底的に無視する、しつこい人は着信拒否する、ということを除いてはすこぶる評判がいいらしい。


「僕はオーナーじゃないんで自由に意見を言っていいから」というジョージはめちゃくちゃいい人だった。


外国人だからといってバカにすることもなく、イギリスの不動産のイロハを細かく教えてくれた。不動産屋にも話が通じるまともな人がいたことに感動。素晴らしい人だ。


なにより謙虚である。身についたおべっかモードで、地元民ジョージに対して「マンチェスターはいいところですね〜」と、マンチェスターアゲをしようとしたところ、「何年か前にパリに行ったけど、その時パリに比べたらマンチェスターは全然つまらんなと思ったよ」とのことだった。


そりゃあそうでしょう。


われわれの自転車を置くところがないから、庭になにか小屋みたいなものを作ってくれるらしい。


部屋は古いし狭そうで正直あまり期待していなかったのだが、古いことは古いものの、ジョージが今修繕中らしく、今まで見たどこよりもちゃんと手を入れてそうである。


今風のリモデリングがされている物件では風呂トイレが必要以上に広くて、キッチンがリビングの中にあるopen-plan kitchenというのが流行っぽいが、風呂トイレが広くある意味がよくわからないし、キッチンも別部屋になっているほうがリビングに食べ物の匂いがこもらないのでありがたい。


1ベッドルームだが、書斎として使える小部屋があるのも良いし、全ての部屋に窓がついている!


リビングの外は自由に使える小庭になっていてリスとかネコがいてなんか人間らしいくらしという感じだ。


ミニミニキッチン。床板とオーブンは新品に変えてくれるらしい

夢のミニ書斎つき

ジョージとわたし

今まで会ってきた不動産屋は、物件を他の人に見せないでおいてもらうためには一週間分の家賃に相当する手付金、約5万円をすぐに入れるのが普通だった。


しかし、エドワード=ジョージ連合はそういう余計なお金は取らず、われわれがここを気に入ったのなら契約が決まるまでは他の人に見せないという。


「はい!申し込みます!」と二つ返事。


ジョージいわく「エドワードにメールすれば古の時代から伝わる応募書類をエドワードが送るから」とのこと。たしかに、エドワードから送られてきたPDFファイルは20年以上前のとんでもない代物だった。


古の書類を苦労して記入し、早速申し込みをすませる。


引っ越し


審査中はドキドキしたが、それから1週間くらい後、無事に審査に通った。


エドワードとジョージが迅速に入居準備を進めてくれ、数日前からこの家に住んでいる。


そういえば、その後コカ男から、この家の向かいにある物件、申し込んだ人がバックレたらしく、興味ないかと連絡が来た。「ざまぁ」と思った。


引っ越しはそれはそれでひと悶着あり、荷物を運ぶために引っ越し前日の夕方からレンタカーを予約していて、妻が取りに行ってくれたのだが、レンタカー屋に行ってみると、予約していた車(日産ジューク)がなくて、全然違う車(巨大なアウディのセダン)を使ってくれと言われたそう。


セダンだと机とか買いに行けないので困る…。


結局、すったもんだのあげく、「さっき乗り捨てられた車がある!」ということになったらしく、妻とレンタカー屋のお兄さんは車で15分くらいかけて、マンチェスターのどこかの、誰かわからない人の家に行き、乗り捨てられたばかりの車をその場で貸してもらったらしい。


誰かの家の前にあった車

ガソリンも入ってないし、料金も払わずに車だけわたされて、めちゃくちゃというか、大らかである。料金は翌日、レンタカー屋の人が突然家の前に現れて回収していった。車のGPSを追いかけて来たらしい。めちゃくちゃである。


引っ越しできたのは良いものの、さすがに古い家なので、いろいろ問題はある。


なかでも問題なのは、風呂の蛇口の七不思議ともいうべき複雑さである。


水を出したら最後、止め方がわからないので風呂から出られなくなる。


3つのカランがあって、それぞれが絶妙の均衡を得たときにだけ水が止まる仕組みのもよう。この仕組みを解明しようと妻と30分ほど討論会を開いたが、仕組みは解明できなかった。


まぁ、それらの問題はジョージ氏が解決法を検討してくれているし、今のところ楽しく暮らしています。


都会のど真ん中にあったソウルの家とは正反対で、あまりにも静かな環境でなにも物音がしないのが違和感。


ともかく家なしにならなくて良かった。めでたし、めでたし。


イギリスは晴れた日は気持ちがいい。あまり晴れないのが問題だが

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