ポンコツハワイ大学院生、派遣の仕事を探す
最近は何をしているかというと、参与観察をしてから立ち飲み屋に行ったり、友達と立ち飲み屋に行ったり、一人で立ち飲み屋に行ったり、銭湯に行ってから立ち飲み屋に行ったりしている。
あと、もともとの博士論文の計画でもあるし、立ち飲み屋代も心配になってきたので、派遣の仕事を探している。
しかし、世の中甘くない。今日までに50から60くらいの仕事に応募したが、「社内選考」に通ったのが10未満、実際に「職場訪問」に呼ばれたのは2つだけだ。
派遣の仕事を探すためには、まず、派遣会社に登録する。オンラインで履歴書などを作成し、その後、派遣会社から電話がかかってきて、来社するか、電話で面談を受ける。ぼくはいま3つほどの派遣会社に登録中である。
この際、タイピング能力のテストやExcelのVlook up関数のテストをやらされる。自分の能力を、数でわかる形ではかられるのは嫌なものである。とある高層ビルにある派遣会社では「文章入力は専門のタイピストになれるレベル」と評され有頂天になったが、その直後「数字入力が異様に遅い」と地獄に落とされた。
その際、自分の希望業種や給料などを設定。派遣の仕事は交通費がもらえない。インタビューなど都内の用事もあるので、家からあまりに遠いところは困る。それに、現在の家の周りには工場などはないので、一般事務や英文事務、テレフォンオペレーターなどの仕事を探すことになった。
問題は、職歴があまりないことである。大学を卒業してそのまま大学院に行ったので、大学生の間と、大学を卒業してから半年くらいしていた運送会社の仕事と、その後大学院での数年間のTA、翻訳やデータベース作成のバイトくらいしかしたことがない。
それにくわえて博士課程というと、「社会を知らないバカ」扱いを受けそうなので、ニッケル・アンド・ダイムドでバーバラ・エーレンライクがそうしていたように、大学院のことは履歴書に書かない方がいいんじゃないか、という考えが一瞬頭をよぎったが、大学院について書かないと、職歴も全部なくなってしまうので、正直に書くしかないと観念した。
しかし、この仕事は、「クライアントが募集用件を週5勤務に変えた」という謎の理由で消滅した。
実際に、「このお仕事、あさひなさんで進めさせていただくことになりましたので」という連絡を受け、面接の日程を相談した後に、その仕事自体が消滅することが何度かあった。
競争入札でまだ受注できていない仕事の募集を見込みでかけて、受注できないということがあるらしい。こちらからすると、あるかないかわからない仕事の募集をすんなよ思うのだが。
同時に、「募集内容が変わった」とか「仕事を受注できなかった」というのは、他の候補者が自分より先にその仕事をとってしまったときの言い訳に使われている印象もあり、内実はよくわからない。
4月としては異様に暑かったある日、事務職の「職場見学」のために、都心のオフィス街の新築高層ビルにある、人材コンサル会社のオフィスに行ってきた。一着しか持っていない喪服用スーツを着る。スーツを着るのは大学の卒業式以来、5年ぶり通算2度目だったので、YouTubeで「ネクタイ つけかた」と検索。ネクタイをするのに20分かかった。
駅で派遣会社の営業の人が待っていてくれる。親切ないい人だった。通常、30分ほど前に集合し、オフィスの下のベンチなどで、面接の内容、担当者の方のクセなどの説明を受ける。
時間になるとオフィスに上がる。背が高い男性社員に、ガラス張りの会議室に通され、まず、「うちのあさひなを紹介します」と、ぼくの経歴が個人情報抜きで書かれたボードが渡される。そこに書いてある経歴を、ぼくが説明していく。説明終了後、質問タイム。
この会社は基本的なマナーに厳しいらしく、
もう一つには、ぼくの振る舞いなどに決定的な問題があるという可能性だが、そんなことは断じてありえないので、とりあえず置いておく。
登録している派遣会社に以前つとめていた人にこの話をしたところ、事務の仕事で男性の派遣社員を受け入れている会社はかなり少ないという。その人の主観的観測によれば、一割、二割を除いては、男性は応募すらできないらしい。もちろん法に反するので、表向きは応募できるようになっているが、実際には選考されない。
採用側の意向は確かめるのが難しいが、正社員の仕事は男性、非正規雇用で正社員をサポートする事務は女性という強い意識が採用側にある、というのは、いかにもありそうな話だし、もし確認できればおもしろい、というか「おい、コラ!」である。
ただ、面接までいった二つの会社に関しては少なくとも男性も受け入れているので、ぼくの人間性の問題かもしれない。しかし、大学院にいるわけのわからない男よりも「素直そうな女性」をとりたいという採用担当者の意向はあるだろう。
日本の非正規雇用は、韓国とか他の国に比べても、女性に集中しているとよく言われている。その説明には、いろいろなバリエーションがあるのだが、今回自分で仕事を探してみて、採用側の意向、それも採用担当者の意向が影響を及ぼすというのはあまり考えたことがなかったな、と思った。あくまで単なる仮説だけど。
現在も求職活動中なので、またおもしろいことがあったら報告したい。
あと、もともとの博士論文の計画でもあるし、立ち飲み屋代も心配になってきたので、派遣の仕事を探している。
ポンコツ大学院生、派遣の仕事を探す
ポンコツではあるものの、20代だし、大卒だし、パソコンも基本的なことは使えるし、英語もいちおう使えるし、だいいち「日本は本当に人不足」だとみな口をそろえるので、仕事はすぐ見つかるだろうと調子に乗っていた。しかし、世の中甘くない。今日までに50から60くらいの仕事に応募したが、「社内選考」に通ったのが10未満、実際に「職場訪問」に呼ばれたのは2つだけだ。
派遣の仕事を探すためには、まず、派遣会社に登録する。オンラインで履歴書などを作成し、その後、派遣会社から電話がかかってきて、来社するか、電話で面談を受ける。ぼくはいま3つほどの派遣会社に登録中である。
この際、タイピング能力のテストやExcelのVlook up関数のテストをやらされる。自分の能力を、数でわかる形ではかられるのは嫌なものである。とある高層ビルにある派遣会社では「文章入力は専門のタイピストになれるレベル」と評され有頂天になったが、その直後「数字入力が異様に遅い」と地獄に落とされた。
その際、自分の希望業種や給料などを設定。派遣の仕事は交通費がもらえない。インタビューなど都内の用事もあるので、家からあまりに遠いところは困る。それに、現在の家の周りには工場などはないので、一般事務や英文事務、テレフォンオペレーターなどの仕事を探すことになった。
問題は、職歴があまりないことである。大学を卒業してそのまま大学院に行ったので、大学生の間と、大学を卒業してから半年くらいしていた運送会社の仕事と、その後大学院での数年間のTA、翻訳やデータベース作成のバイトくらいしかしたことがない。
それにくわえて博士課程というと、「社会を知らないバカ」扱いを受けそうなので、ニッケル・アンド・ダイムドでバーバラ・エーレンライクがそうしていたように、大学院のことは履歴書に書かない方がいいんじゃないか、という考えが一瞬頭をよぎったが、大学院について書かないと、職歴も全部なくなってしまうので、正直に書くしかないと観念した。
突然消滅する仕事
その後、派遣会社から仕事を紹介される。まず最初に、大手企業の子会社でKPTという謎のモノをつくる、週3勤務、時給2800円というすばらしい仕事を紹介された。KPTなんて一度も聞いたことがない。「KGBですか?」と質問して派遣会社のスタッフさんに失笑される。とりあえず「はいはい、是非やらせてください!」と答えておいた。しかし、この仕事は、「クライアントが募集用件を週5勤務に変えた」という謎の理由で消滅した。
実際に、「このお仕事、あさひなさんで進めさせていただくことになりましたので」という連絡を受け、面接の日程を相談した後に、その仕事自体が消滅することが何度かあった。
競争入札でまだ受注できていない仕事の募集を見込みでかけて、受注できないということがあるらしい。こちらからすると、あるかないかわからない仕事の募集をすんなよ思うのだが。
同時に、「募集内容が変わった」とか「仕事を受注できなかった」というのは、他の候補者が自分より先にその仕事をとってしまったときの言い訳に使われている印象もあり、内実はよくわからない。
職場見学
「社内選考」を通過、仕事が消滅しなければ次は「職場見学」こと会社面接である。4月としては異様に暑かったある日、事務職の「職場見学」のために、都心のオフィス街の新築高層ビルにある、人材コンサル会社のオフィスに行ってきた。一着しか持っていない喪服用スーツを着る。スーツを着るのは大学の卒業式以来、5年ぶり通算2度目だったので、YouTubeで「ネクタイ つけかた」と検索。ネクタイをするのに20分かかった。
写真はイメージ |
駅で派遣会社の営業の人が待っていてくれる。親切ないい人だった。通常、30分ほど前に集合し、オフィスの下のベンチなどで、面接の内容、担当者の方のクセなどの説明を受ける。
なにか得意なこととかないですか?例えばお電話に自信があるとか。このお仕事は、お電話が得意な方にはそういうのをしてもらったり、入力が得意な方には…とおっしゃるので、思わず、「電話が得意な人ってなんですか?」と聞いたら、「向き不向きってものがあるでしょう!」と言われる。
時間になるとオフィスに上がる。背が高い男性社員に、ガラス張りの会議室に通され、まず、「うちのあさひなを紹介します」と、ぼくの経歴が個人情報抜きで書かれたボードが渡される。そこに書いてある経歴を、ぼくが説明していく。説明終了後、質問タイム。
これまでに電話がけをしたことがありますか?、電話をしながらパソコンを使うことがありますか?と、聞かれ、「逆にしたことがない人もいるのか?」と疑問に思った。「できます。けどプロのコールオペレーターではないです」と正直に答えた。
この会社は基本的なマナーに厳しいらしく、
上長がおりませんので、本日は僭越ながら私が読み上げさせていただきます。と担当社員の方が、「私はあいさつをきちんとします」という誓約書を読み上げ、署名をさせられた。ぼくもこういう自衛隊のような環境で、「社会人らしい振る舞い方」を学んだほうがいいかもしれない、と前向きにとらえる。
会社訪問終了後、下のベンチで再度営業さんと話す。この時点では、「今週末もしくは来週月曜勤務開始だと思います」と伝えられ、こちらも「服装はスーツですかね?」などと調子に乗っていた。
営業さんから「弊社のほうでまとめきれませんでした。すみません。」という電話を翌日もらう。電話もかけられないと思われているのだと思い、結構落ち込む。
営業さんから「弊社のほうでまとめきれませんでした。すみません。」という電話を翌日もらう。電話もかけられないと思われているのだと思い、結構落ち込む。
なぜ仕事が見つからないのか?
その後うけた別の面接では、営業の方が、「まぁ会社は日本の会社なので気にするかと」と、海外に住んでいたことを隠すという秘策を打ち出した。この会社はショートカットにこだわりがあるらしく。採用担当の方:普段、ショートカットを使いますか?どういうショートカットを使いますか?
あさひな:はい、わたしはショートカットは日常的に使う方です。えーと、コピー、切り取り、ペースト、あと画面切り替えとか…。
という珍妙なやりとりがあった。そして落ちた。
なぜ、仕事が見つからないのだろうか。一つには、8月末までの短期とか、ぼくの条件が特殊ということがある。しかし、条件にマッチする仕事は一定数あって、応募もしているので、それほど大きい問題とは思えない。
もう一つには、ぼくの振る舞いなどに決定的な問題があるという可能性だが、そんなことは断じてありえないので、とりあえず置いておく。
登録している派遣会社に以前つとめていた人にこの話をしたところ、事務の仕事で男性の派遣社員を受け入れている会社はかなり少ないという。その人の主観的観測によれば、一割、二割を除いては、男性は応募すらできないらしい。もちろん法に反するので、表向きは応募できるようになっているが、実際には選考されない。
採用側の意向は確かめるのが難しいが、正社員の仕事は男性、非正規雇用で正社員をサポートする事務は女性という強い意識が採用側にある、というのは、いかにもありそうな話だし、もし確認できればおもしろい、というか「おい、コラ!」である。
ただ、面接までいった二つの会社に関しては少なくとも男性も受け入れているので、ぼくの人間性の問題かもしれない。しかし、大学院にいるわけのわからない男よりも「素直そうな女性」をとりたいという採用担当者の意向はあるだろう。
日本の非正規雇用は、韓国とか他の国に比べても、女性に集中しているとよく言われている。その説明には、いろいろなバリエーションがあるのだが、今回自分で仕事を探してみて、採用側の意向、それも採用担当者の意向が影響を及ぼすというのはあまり考えたことがなかったな、と思った。あくまで単なる仮説だけど。
現在も求職活動中なので、またおもしろいことがあったら報告したい。
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