「Bチーム」あさひな奨学金失敗の記録(フィールドワーク編)

Bチームでもめげない

わたしには不満がある。世の中には星の数ほど留学体験記があるが、私のような凡人の役に立つような情報がほとんど存在していない。 

あるのは受験のプロセスなど当たり前のことが書いてあるだけの受験指南か、留学先のショッピングモールや日系スーパーの情報などどうでもいい話、そして一番多いのが「Aチーム」とわたしが呼ぶ超エリートの自慢話。

Aチームとは東大や京大を優秀な成績で卒業し、 先生から高く評価されており、英語もTOEFL100点くらいは余裕で取れて、数学オリンピックに出場したとか、ホームレス生活からから成り上がったとか、差別に直面してそれを乗り越えたなどの特殊な人生経験がある人たちである。

こういう人たちの話は、わたしのようなBチームにとっては劣等感がかきたてられる以外の役割はない。そこでわれわれBチームのための留学体験記が必要となる。これは本のテーマになるのでこうご期待。

Bチームにとって特に問題となるのがお金問題である。Bチームは怠惰であるがゆえBチームになったわけなので、いかにして働かずに、そして死なないように生きるかが課題だ。そのために奨学金をゲットしなければならない。大学院村には大きく分けて以下のような5つのタイプの奨学金がある。

①大学院で勉強するための奨学金(村人初期)

②英語以外の語学を勉強するための奨学金(村人初〜中期)

③博士論文の研究をするための奨学金(村人中〜後期)

④博士論文を書き上げるための奨学金(村人後期)

⑤博士課程を卒業後の奨学金(脱村後)

全部大事だが、いまわたしは③と④のあたりで苦労している。以下が去年から今年に書けての私の失敗の歴史である。


失敗するとこのようなお祈りメールを頂戴する。もしくはペラペラの封筒が郵送で送られてくる。合格の封筒は中身がギッシリなのですぐにわかる。

2016-2017年あさひな奨学金失敗の記録

2016年

7月 りそなアジアオセアニア財団 (たしか80万円くらい)
→× 一次選考で脱落。理由は不明。
8月 Korea Foundation Field research Fellowship (約120万円くらい+航空券+保険)
→○ 受かった。先生の一人がすごい手伝ってくれた。
11月 Winner-Gren Foundation Dissertation Fieldwork Grant(約200万円)
→× 一次選考で脱落。主な理由はわたしの韓国語能力を疑問視されたことと、レビュアーが比較研究嫌いだったこと。学校の先生にこのレビューを見せたがみんな結構「ウーン、そんなこと言ってもなぁ…」的な感じだった。
11月 Social Science Research Council Int'l Dissertation Research Fellowship(約200万円)
→× 一次選考で脱落。理由は研究計画書がしょぼかったことだと思われる。

2017年

5月 Winner-Gren Foundation Dissertation Fieldwork Grant(約200万円)
→× 二度目の失敗。前回よりも理論を強調したところ、「学際的社会科学ではなく人類学の理論に貢献しろ。あと英語が下手くそ。」とボロクソにこき下ろされる。
5月 松下幸之助記念財団研究助成(40万円)
→× もらえると思い込んでいたが脱落。理由は不明。

8月 公益財団法人 韓昌祐・哲文化財団 (約90万円)
→× もらえると思い込んでいたが脱落。理由は不明。

10月 NSF Sociology Program Dissertation Improvement Grant (約100万円)
→現在結果待ち中。期待度60%。指導教官がすごい手伝ってくれた。
10月 Mellon ACLS Dissertation Writing Grant(約350万円)
→現在結果待ち中。たぶんもらえない。
11月 サントリー文化財団 若手研究者のためのチャレンジ研究助成 (96万円)

→現在結果待ち中。期待度50%。
11月 The Charlotte W. Newcombe Doctoral Dissertation Fellowship(約250万円)
→現在結果待ち中。たぶんもらえない。

2018年応募予定

Harry Frank Guggenheim Foundation
Horowitz Foundation for Social Policy

なぜ落ちるのかよくわからない

他にも、大学や学部ごとにそのメンバーしか応募できないモノもあるが、それは上のリストからは除いた。私の今年と来年のフィールドワークは、韓国ではKorea Foundation、日本は社会学部からもらった少しのお金と、EWCというところがくれるお金の組み合わせでなんとかやりくりしたいと思っている。

上にあるような奨学金は応募のための準備が大変で、エッセイを書くのにいつも数週間悩まされる。その割に、なぜ受かったのか、なぜ落ちたのかよくわからないのである。

Korea Foundationなど、自分なりにエッセイがあまり納得いくような内容で書けなくてももらえるときもあれば、Wenner-Grenとか、自分ではかなりいい線いってるぞと思っていてもボロクソにこき下ろされたりする。なので失敗から学べることがあまりないのだが、それでは何の役にも立たないので、以下、3つの教訓である。

楽をするためには努力を惜しまない

ここ数年、私がした間違いのひとつのパターンは、BチームのくせにAチーム用の戦略しか知らなかったことである。ここで探検家の高野秀幸さんの名著間違う力−−オンリーワンになるための10か条』という本が役に立つ。高野パイセンの言葉を借りれば、われわれがすべきは自分が「一流」(それが何を意味するにせよ)ではないことを認め、「一流より二流をめざす」ことである。

奨学金の場合、極端に言うと①みんなが応募しているものに応募してその中でトップになる、というAチームの戦略と②誰も応募していなさそうな奨学金に応募するという戦略とがある。仮に自分しか応募していなかったらいくらダメ人間でももらえるのであって、これこそわたしのようなBチームの人間の戦略である。

「誰も応募しない奨学金なんてないよ」と言われるかもしれないが、世の中には本当に意味のわからないような奨学金や誰も応募できないようなニッチな奨学金がたくさんある。しかし、応募する前にそれがどういう奨学金かはよくわからないので、とにかく数を打ちまくるというのは一つの作戦である。


そういうリストに載ってすらいないような奨学金をさがすのはうんざりする作業ではあるが、高野さんのポイントは、われわれは王道ではない以上楽して楽することはできないのである。つまり情報収集は大事。

普段から他の人にいろいろ聞いたり、いろいろなサイトを見る必要がある。このサイトや、この文章などは役に立った。あと、書き方で言うとこの人の実例や、SSRCのこの文章などは一応参考になる。と、失敗してる人に言われてもなんの説得力もないが。

身近にあるものを無理矢理でも利用する

これも前述の本での高野さんの名言の一つである。

ここには二つの意味があると思う。一つには、自分の特性にあった奨学金を選択的に狙う。奨学金の中には、「マイノリティ系奨学金」や「地域系奨学金」とか、女性やアジア系、沖縄県民とか埼玉県民とか学業とは別の基準を満たさないと応募できないものが多い。こういう奨学金は本来の目的からしてAチーム以外の人にも学びの機会を提供することにあるのであって、チャンスである。こうした機会があれば多少こじつけであってもトライしたほうが良いように思う。

現に、わたしがこれまでにもらったことのある奨学金はだいたいアジア枠のやつで、NSFやSSRCなどの代表的社会科学系奨学金に比べると競争率が低いと思われる。どんな金でも、もらってしまえば価値は同じである。ニッチを探そう。

もう一つの意味は、とにかく図々しく周りの人に助けてもらうことである。先生たちは忙しいので、自分の奨学金の話などしづらいのだが、わたしのようなぼんくら村人が一人でレベルの高い研究計画書やエッセイを書き上げるのはほとんど不可能である。先生たちに添削してもらった計画書とそうでないやつとではクオリティに天と地ほどの差がある。

恥ずかしがらずに自分の周りにいる大人、先生や先輩村人、もしくは友達などに応募書類を読んでもらわないと、競争率の高い奨学金をゲットするのは至難の業である。

失敗してもクヨクヨしない

ハワイ大学のある先生が、「どんなにすごい経歴の先生でもみんな成功の数十倍の失敗をしているというのが、大学院で学んだことのなかで一番大事なこと」と言っていた。失敗は普通であり、成功は幸運である。ましてやBチームの我々は…。

ちょっと前に流行った「失敗の履歴書」というのがある。アメリカ大学村人なら持っているCVという履歴書があるのだが、ここには普通輝かしい成功の歴史しか書かれていない。しかし、ものすごい輝かしいCVを持っている人でも、その裏にはCVにはのらない長い長い失敗の歴史がある。その失敗経験だけをのせた履歴書である。

リンクはプリンストン大学という超名門大学で心理学を教えている人の失敗の履歴書だが、こんな超Aチームでも笑ってしまうくらい多くの失敗をしている。Bチームでも、失敗にめげずに頑張ろー。

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