2025年に読んだ本ベスト10

明けましておめでとうございます。


大晦日までダラダラ仕事していて、年が明けてからになってしまいました。だらしない。例によってわたしが今年読んだ本で、必ずしも今年出た本というわけではありません。イギリスで英語の本が安く手に入るようになったので、翻訳がまだ出ていない本も含まれています。


元日に行った江ノ島からの夕日



著者は鳥類学者。軽井沢にこもってシジュウカラを観察し続けて、鳥の言葉を読み解く動物言語学という学問を生み出した。尊敬。わたしも人のやってることを後追いしててもダメだなと落ち込んだ。


シリアの家族 小松由佳



ある種『人間の土地へ』の続編として読んだ。人間の土地へ、でシリア人の男性と結婚した著者が家族をとりまくドラマを通してシリアの今を描いている。すごい本。内容は深刻なのだが、「第二妻騒動」などとんでもない危機がたびたび著者に振りかかり、笑えた。


ジェイムズ パーシヴァル・エヴェレット



ずっと読みたかったのだが、手が出なくて夏くらいにペーパーバックで安くなったので読んだ。ジム・クロウ下で逃亡して指名手配奴隷となった少年ジェイムズの逃亡記。黒人側の視点から描いた『ハックルベリー・フィンの冒険』らしい。一気読みした。英語版しか読んでないので翻訳の良し悪しについては知らぬ。




出版されてからしばらく経っているが、ペーパーバックで安くなっていたので読んだ。いまやアメリカ政治最大の争点ともいえる国境「危機」は、そもそもアメリカ政府自らが作り出した問題だったということが一番勉強になった。読み物としてすごく良くできていた。翻訳に期待。




人類学者の大好物、ジェームズ・クックがハワイで殺された最後の航海の記録を歴史文書から読みやすく語り直した本。単にわたしが航海記好きというのもあるけど、ストーリーとしておもしろいので一気に読んだ。クックが死んだ本当の原因については著者の見解が正しいのかはわからないが、よくわからないからこそロマンがあって、おもしろい。イギリス人の帝国マインドセットはやっぱりちょっとやばいよ、と思った。翻訳に期待。




実はいちばん目うろこだった本かも。中国の富裕層・知識層の海外脱出のことを「潤」というらしい。日本への脱出は「潤日」となるわけだが、いま東京に中国の富裕層だけでなく、知識人たちも集まっていて魯迅や孫文が滞在していた19世紀末の状況に似ているという話など勉強になった。わたしの今の職場のイギリスの大学も完全に中国人富裕層に依存しているので、色々と考えさせられるところがあった。




River townという、90年代後期の中国の田舎をピースコープスの英語教師という立場から書いた本が有名な著者が約20年後、コロナ禍を含む時期に四川大学に赴任して書いた習近平時代の中国の記録。River town、現代の学生と90年代の学生との対比でこの20数年間の中国の激烈な変化がわかって面白い。あと、著者のユーモアのセンスがツボ。何度か爆笑してしまった。翻訳に期待。




テーマ的に出落ち(読む前が一番おもしろいの意)っぽい感じがしたが、読んでみたらきちんとおもしろかった。著者が以前からホス狂いの人たちの取材をしていた方というのが大きいように思う(そっちの本もすごくおもしろかった)。瞞すほうも瞞されるほうも孤独であまりに救いのない話。「自己肯定感」が時代のキーワードという感じがする(ぼんやり感想)。




お世話になっているテギョさんの本なので、ここに入れるのはどうなの?とも思わないではなかったが、それを差し引いても去年読んだノンフィクション系の本の中では内容の充実ぶりが一番すごかったと思う。現代韓国に関する新書みたいなのはたくさんあるが、熱量(気合いの入り方?)と情報量が全然違う。




主張が良い。なぜ日本経済は低迷しているのかという話は、以前いた大学の修論で超頻出問題だったのだが、日本は労働生産性が低いからというよくある説明は個人的には全然ピンとこなかった。そこにきて著者の「生産性は実は問題ではないのだ」という主張は正しいのかどうかは別として実感に添うところがあるというか、わたしにとって都合が良いので非常におもしろかった

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