マンチェスター通信:新聞の話

さて、みなさんお元気ですか?


わたしは生きてます。


ソウルにいたときは冬でも晴れていたので、なんとも思いませんでしたが、マンチェスターは基本が雨か曇りなので、朝起きて外が晴れていた日の感動は筆舌に尽くしがたいほど。


晴れた日は本当に素晴らしいのだが…


外食も同様で、ソウルでは外食が安かったから毎日外食でも問題なかったのが、マンチェスターでは高くて外食は贅沢なので、たまに外で食べるとすごい有り難みで、これはこれでいいもんだなと思ってます。


たまにはブログも更新したいので、時間を見つけて生存報告を兼ねたイギリス生活の報告をしようかなと思います。


今日の話題は新聞。


最近、イギリスの新聞はかなり読み応えがあっておもしろいということを発見。週末は新聞を読んでます。


とくにおもしろいのは、Guardianの(たしか…)土曜版にのっている”You be the judge”(あなたが判事)という記事シリーズで、よくありそうな問題をかかえた読者が、その問題をそれぞれ検察と弁護士という役割から紹介し、その後に読者の意見が添えられていて、新聞を読んだ人はオンラインで投票できるという構成になっています。


先週の記事は「ルームメイトは別々のタオルと食器用ふきんを使うべきですか?」というやつで、検察役のイシオマは、彼女のルームメイトのアマとダミはイシオマのトイレ用手拭きタオルを使わないで欲しいし、皿の乾燥用、テーブルのふきんなど用途によってタオルを使い分けないのは不衛生だと主張。


これに対してルームメイトのアマは、そんなどうでもいい問題で悩むには人生は短すぎる。イシオマは考えすぎるのをやめるべきで、安い食洗機を買えば問題は解決すると主張。


読者からは「鶏肉がついた皿を拭いたふきんでテーブルを拭くなんてありえない!」というイシオマ同調派から、「肉を食べた皿とマグカップを違う布で洗うのはわかるとしても、トイレに自分専用の手拭きを持ち込むのはどうかしている!」などさまざまな意見が寄せられました。


この回の評決はまだ出ていませんが、その前の回の記事「わたしの息子はイタズラでご近所さんの家の前に落ち葉を集めたことを、彼女に対して謝るべきですか?」では、オンライン読者投票の結果、48:52で息子エドに無罪が宣告されました。


また、今週のガーディアン土曜版には村上春樹のインタビューが載っていましたが、そこに添えられている記事がおもしろかったです。


これ

なんでも、イギリスでは日本の小説が結構キテるらしく、今年出版された翻訳小説の売り上げトップ40の43%が日本小説とのこと。


きっかけは『コンビニ人間』の翻訳がヒットしたことらしいのですが、今年の売り上げトップは柚木麻子さんの『BUTTER』の翻訳だそう。たしかに、『BUTTER』はどこの本屋に行っても平積みされてます。


柚木さんはJapan Foundation主催のイギリスツアーで先月マンチェスターにもいらっしゃって、講演会をされてました。


講演会では、この小説がイギリスで評価されるとは思わなかったというような趣旨のことをご本人が仰ってましたが、こんなハイコンテクストな日本の話がイギリス人におもしろいのか、とわたしもちょっとびっくりしました。


講演会の模様

ガーディアンの記事でインタビューを受けていた専門家の分析によると「読者が読みたいのは’Otherness’ (他者感?)だけど、あまりにも違いすぎない’Other’」とのことで、日本の都市の風景とかはイギリスの読者にも共感できるけれども、東洋の話だから異国感もあってちょうどいいとのことでした。

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