ドイツに行ってきた


しばらく間が空いてしまったが、この間にもいろいろあった。なかでも、一大イベントはドイツ行きであった。

時空論争


まず、出発のボストン空港から大変。

もともと25日発のチケットを、所用により26日に変更したのだが、26日の夕方に空港に行くと、係のお兄さんがうんざりした顔で「あなたのチケットは昨日の飛行機だよ」と言う。

「えーっ?」と一瞬仰天したが、そんなはずはない。

「なに言ってんだ、26日って書いてあるだろ」と、iPhoneを見せながら色をなして猛抗議。

するとお兄さんも「はい?今日は27日に決まってるだろ」と反撃。

そんなこと言われても、携帯も時計も今日は26日だと言っている。頭が狂いそうだ。

両者譲らず、今、ボストン・ローガン空港は2019年10月26日なのか、それとも27日なのかを巡って激しい時空論争が巻き起こった。

われわれが揉めているので興味を持った隣のカウンターのお姉さんが「今日は26日よ」と助け船を出してくれ、わたしは時空論争に勝利した。

いつ、そしてなぜ、お兄さんの時空は歪んでしまったのだろうか?

ともあれ、無事にヨーロッパ行きの飛行機に乗れたのであった。



朝のダブリン空港 

「動員」疑惑

無事、ドイツに到着。乗り換えで立ち寄ったダブリン空港で、明け方からみんなビールを飲んでいたのにも驚いたが、週末のためか、ミュンヘンでもみな昼前からビールを飲んでいる。タバコも吸いまくり。非常に良いインスピレーションを得た。

ボストンに帰ったら、オフィスの共用キッチンにビアタップを導入することを提案してみようと思う。

昼酒をしている割には、みな健康そうである。アメリカでお昼前に酒を飲んでいる人たちの感じとはまったく違う。アメリカ人の健康への執着のほうが病的な気がしてきた。保険制度がまともなら、昼酒しても健康でいられるのだろうか。

ニュルンベルクでは先生のご厚意で、シンポジウムに参加させてもらったのだが、開始時間が変更されたことを知らず1時間遅刻するという大失態。


ポスター

前の先生のプレゼンテーションが終わり拍手をしようとしたら、みな「ゴンゴンゴンゴン」と、机を拳でたたき始めたのにも面食らった。ドイツではそうするのだと以前聞いたのだが、遅刻で気が動転していたこともあり、すっかり忘れていた。

ヨーロッパの日本研究者の方たちや、在外研究中のT先生をはじめとして、みなさんから有意義なお話を聞かせてもらえてよかった。


T先生とAさんと行ったカフェ「マドモアゼル」の、あまりにマドモアゼルなフレンチトースト 

シンポジウムには当地の学部生が結構な数来ていたのだが、どうも聞いてみると全員「日本のポピュリズム」という、めちゃくちゃ特殊な授業を取っているらしく、大学院生たちは否定していたが、先生に「動員」されているのではないか?という疑いがぬぐえず、なんとなく気の毒であった。

その後、ドイツの新幹線に乗り、ボーフムという元炭鉱の街にお邪魔し、当地で研究をしているMさんに街を案内してもらった上、いろいろとヨーロッパの研究事情なども聞かせてもらった。


連れて行ってもらったおしゃれカフェ。ドイツ人はカフェをハシゴするそう 

連れて行ってもらった魚の店。おいしかったー 

ベルリンのクラブ入場審査

電車に揺られ、ベルリンにも行った。



マルクス先輩とも記念撮影 

せっかくベルリンまで来たので、いっちょクラブでも行くかということになる。

宿の近くにあった、発電所の廃墟を改造したという大きなクラブ、Tresorに狙いをさだめる。


写真撮影禁止だったので、Wikiから拝借 

グーグル先生によると、ベルリンのクラブは入り口で入場者の審査をしていて観光客とか「ダサい」人は入れないらしい。レビューでは「白人男性は入れない!レイシズムだ!」といった逆上コメントがしばしば散見され、なかなかおもしろい。また、日本人のブログ体験記などを読むと、全身黒服の「ベルリンスタイル」で行けば入れるとある。また、その日に回すDJを知らないと入れてもらえないらしい。

しかし、わたしが持っている服は、3ドルで買った子供用の蛍光イエローのトレーナー(上写真参照)と、セールで12ドルだった子供用の蛍光イエローの登山靴という、「ベルリンスタイル」とは対極の「目立ちたがりの子どもスタイル」。

「ダサい」人が入れないのであれば、確実に入れないであろう。しかい、わざわざ服を買うのもダサいので、目立ちたがりの子どもスタイルで突撃した。

審査をするのはクラブで働いているお姉さん。Aさんと緊張しながら30分ほど待ったが、なにも聞かれず余裕で入れた。

真偽のほどは不明だが、わたしがその日被っていた、コンドームの先っぽみたいな感じの短いニット帽は実は「ベルリンスタイル」らしい。今後、ベルリンのクラブに行く人はコンドーム帽を被っていくことをオススメする。

審査を観察していると、たしかに半数ぐらいはお断りされていたが、要は男同士でナンパのために来ているとしか思えない「ブロ」たち(※当ブログにおける、ホモソーシャルな男性軍団の総称)は入れないというだけの話で、格好の問題ではない気がする。たしかに、ナンパ欲に満ちあふれたブロたちは気持ちが悪いし、格好もダサいので入れないのは仕方ない。
蛍光服を買って出直してこい。

男性性のない目立ちがり男

実際、どれくらい効果があるのかはわからないが、入り口審査で「ブロ」やスケベおじさんたちを取り除くのは、お客さんの安全のために日本やアメリカのクラブでも導入した方がいいんじゃないかと考えていたら、前に並んでいた中東系の男性グループが秒速で入場を拒否された。

見た目や格好で入場の可否を審査するのはレイシズムのレシピになりかねない。こりゃあアメリカでは無理だろうな、と思ったのであった。

その後、セキュリティチェックがあって、男性は男性のガードマン、女性は女性のガードマンからチェックされる。男性のほうは結構長い列になっていて、女性のほうは誰も並んでいる人がいなかった。

わたしは白人男性達に囲まれ、男性の列の後ろのほうにポツン、と並んでいたのだが、「ハイ、次お前」となぜかわたしだけピンポイントで選ばれて女性用のラインでチェックを受けた。

特に新しい発見でもないが、白人社会においてはわたしのような蛍光アジア人は男性性のない存在なのだな、とあらためて思った。しかし、おかげで早く入場できたのはラッキー。


ベルリンはフリーマーケットもよかった… 

「アメリカに住まないといけないなんて可哀想」

わたしが話す機会があったのが、大学院生や大学の先生たちという偏った人口だったせいかもしれないが、ドイツではしばしば、「アメリカに住まないといけないなんて可哀想」と、様々な人から哀れみを受けた。

その度に、「いや、アメリカにもいいところもあって。たとえばアメリカは自由だし…」とか言っている、自分の中の隠れたトランプサポーターを発見して苦笑したのであった。

しかし、ひとたびアメリカに帰ってきてみると、たしかに「アメリカに住まないといけないなんて可哀想」だと、自分の中の隠れたドイツ人たちがささやきだした。

まず、空港から家に帰ろうとしたら、普段は片道10ドルほどのUberが、混んでいるからと言って53ドルと、ふざけた値段になっている。しかたなく、バスと地下鉄で帰ることにしたが、バスが来るまで雨風吹きすさぶ中、40分も待った。ドイツには小さな街でも地下鉄があって、公共交通機関が充実していたのに、アメリカ有数の大都市ボストンですらこの有様。

ヘロヘロになって家に帰り着くと、ルームメイトのT君がずっと待っている非常に大事な書類を郵便局がまた(!)配送せずに返送したという(2ヶ月ぶり2度目)話を聞いて驚愕した。

なぜ、この国はいろんなことがこんなにも機能不全なのか。

食べ物の高さにも閉口する。ドイツでは、スーパーやレストランはボストンの半額以下で美味しいものが食べられたのに。昨日はお昼ご飯を持たずにオフィスに行ったのだが、あまりに寒くて裏のスーパーマーケットでちょっとだけデリを買ったら11ドルもした。そしてまずかった。


まずいデリより安かったドイツのカボチャリゾット。美味しかった涙 

社会保障制度がマシなので、大学院生たちもアメリカや日本のように汲々としていなかったし、生活の質は明らかにドイツのほうが高そうであった。

しかし、アメリカにもいいところもあって…(ここでアサヒナ・トランプ再登場)。

もちろん都市や場所にもよるんだろうし、わたしが知らないだけでアメリカにもそういうところはたくさんあるのだろうが、ドイツにいる間、ふと気付くと、「あっ、この空間の中で白人じゃないのぼくだけ!」と、いうことが結構頻繁にあった。

なんとも表面的な観察だが、社会学者イライジャ・アンダーソンの言うところの「ホワイト・スペース」がドイツは広いように感じたし、その中における自分の異物感がすごかった。ジロジロ見てくるおじいさんとか結構いたし。

アメリカのレイシズムの問題はひどいが、ドイツも推して知るべしなのかな、と思った。真相のほどはよくわからんが。

唯一、自信を持って言えるのは、アジア食の充実ぶりはアメリカの大都市の勝ちである。ベルリンですら、スシとフォーとパッタイを一緒に出すような店が中心であった。さすがアメリカ。


ケチャップ味の酸辣湯にはびっくりした 

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