博士論文ディフェンス


またブログが滞ってしまったが、先日、博士論文のディフェンスがあった。ディフェンスとは博士課程の最終フェーズ、公開審査会である。

学校によって違うが、ハワイ村の場合は5人の先生からなるコミッティーからの質問に答えることが出来れば合格。うち2人以上が不合格と考えたら不合格になる。

ディフェンスが開けるということは、合格できるクオリティに博論が達していると指導教官が考えているということであり、他の先生達もその判断にある程度同意しているということである。

それゆえ、質疑応答の時はボロクソに言ってた先生たちが最後には「いやー、いい博論でした、おめでとう」という、と声をそろえる、摩訶不思議な展開になることがままある。

しかし、準備不足のまま突入、実際にディフェンスが戦場と化してしまうケースというのもある。

コミッティーのセンセたちと

ディフェンスまで

先生に博論を終わらせておくように言われたのが1月。

2月の中旬頃に博論の初稿を先生にわたした。

その頃は、まだ博士課程4年目だし、来年もここにいる予定だったのでのんびりしていた。しかし、3月頃に3つくらい応募していたポスドクのうち一つがもらえることが判明。

いよいよ卒業しなくてはいけなくなった。

そこからは怒濤の日々。公開イベントなので、大学のカレンダーに告知を出して、コミッティーに一ヶ月ほど前に論文を配布。

ディフェンス告知

幸運だったのは、同じ寮に住んでいる僕より1年早くフィールドワークから帰ってきたジオグラフィーのパイセンたちがちょうど博論を書き終える時期だったので、いろいろとアドバイスをもらえたことである。

人類学部のクリスティーン・ヤノ先生が実践しているという、ダブルスペース5ページほどのライティングをみんなの前で音読して、いろいろとコメントをしあう、というライティング・グループを彼らもやっていた。数回だけだけれど、そこに参加させてもらえたのはかなり助かった。

一文ずつ、これは意味がわからない、ここはつながりがおかしい、と細かく指摘してもらう機会は普段なかなかないので、かなり勉強になった。

彼らが口をそろえて、「ディフェンスのプレゼンテーションの練習は必須」といっていたので、ディフェンスの一週間ほど前に手伝ってもらった。

正直、「20分くらいのプレゼンテーションなんて余裕でしょ」と思っていたのだが、やってもらって本当によかった。

数年間の汗と涙(と嘔吐物。わたしの場合は韓国フィールドワーク中必要以上に飲酒したため)がつまった300ページの博論を20分のプレゼンにするのは中々難しいモノで、ここで一回コテンパンにされていなかったら、かなり理解不能なプレゼンテーションを人前でしているところであった。
                                                          
月並みだが、いい友達は大切。

ディフェンス前日

ディフェンスの前日は韓国語の授業の期末テストがあったが、ソワソワしてしまって惨敗。仕方ないので(?)サーフィンに行く。

2時間ほど海につかった。

さて、家に帰って最後の準備をするか、と車に乗り、エンジンをかけたその瞬間。「ドッカーン」、「ウワァー」という音と共に、後ろから走ってきた猛スピードのロードバイク自転車男が我が愛車に激突。バックミラー越しに空中を舞う白人男性を見た。

激しい衝突の割に大きな怪我がなかったのは本当に幸いであった。つっこんできたのは向こうであるが、おろおろするしかなかった。

相手はリーズナブルな人だし、細かいことは保険会社に任せることにして帰宅したが、ディフェンス前日に心(とわがカムリ号のバンパー)に大きなダメージを負った。

涙。

ディフェンス当日

ディフェンスには「サポート」と称してみな見に来てくれる。僕のディフェンスにも25人入る教室におさまらないくらいの人が来てくれてありがたい限りだった。しかし、同じ分野の人たちは正直「こいつの博論はどんなもんや」と値踏みしてるんだろうな〜と思うと内心穏やかではない。

練習のかいあってプレゼンは滞りなく進んだ。

その後、コミッティーメンバーからのコメントタイム。多くはお褒めのお言葉と、「理論のプレゼンテーションのしかたがよくない」とか、「ここの部分はどこか他に移した方がいい」といった、比較的簡単に直せる、実際的なコメントだった。

その他には「もっと不平等に関する言説の分析をしたほうがいい」などの、将来本として出版するときのための、いわゆる未来派コメントもあった。

しかし、「グローバリゼーションの本質について何を明らかにしたのか?」とか「結局不安というものについて何か新しい知見を提示したのか?」などなどのクリティカルな質問もあり、それらにはあまりうまく答えられなかった気がする…。

その後、その他の参加者からのコメントタイム。いつも的確なコメントをくれる友達のキースと、デイビッド・ジョンソン先生がいくつかいいアドバイスをくれた。感謝である。

その後、コミッティー以外は部屋の外に追い出され、雑談タイム。

みな忙しいので、「どうせ合格してるだろうから先にレイあげとくよ」とお祝いのレイをいくつかもらってしまったが、これで落ちていたら相当恥ずかしいので気が気ではない。

しばらくしてから部屋に呼び戻され、「ジャジャーン!おめでとう!」と相成った。

見に来てくれたみんなと

ディフェンス後

先週、コミッティーの先生の一人が「ディフェンスの日の夜、何も予定ないんならお祝いにつれてってあげるよ」と言っていたので楽しみにしていたのだが、先生はすっかり忘れていて普通に帰宅してしまうという衝撃の事件もあった。

その日は友達たちと飲みに行き、その数日後に無事卒業式に出席。

ディフェンス後、真剣にカラオケに興じる哲学者Mパイセン 

みんなに祝ってもらえて幸せ

ディフェンスを含め、指導教官の先生とコミッティーの先生達が常に的確にやることを教えてくれなかったらわたしのような凡人はとうにドロップアウトしていたはずで、凡庸だが本当に感謝しかない。

同じ学部のJちゃん

月並みだが、いい友達と先生達は大事。

秋からはボストンに1年間移る予定なのだが、博論でお世話になったみなさんには、博論が提出できた段階でまたきちんと挨拶が出来たら、と思っている。

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