焚き火で大興奮、のち、少しだけConcerted Cultivationの話

言い訳

このブログは本来、1ヶ月に2回は更新する予定だった。しかし、今年になってから1回も更新していない。なぜそのようなことになったのか。

さかのぼることひと月半前、指導教官の先生と一緒に、TAの授業から学部があるサウンダース・ホールへと帰っていた。「博論とは関係ないんですけど、次はこういうテーマで論文を書こうと思うんです〜♫」と調子に乗るわたし。先生から、そんなことは後でやればいいから、ポスドクや仕事が決まったり、という不測の事態に備えて博論の初稿を一刻も早く渡すように(大意)と諭された。

指導教官はいつも、やっている研究のスケジュールまで把握して面倒を見てくれるので感謝。

そこから、どうしようもないもの以外すべての予定をキャンセルし、寮の読書室に住み込み、激しく文字入力したり、クッキーを暴食したり、気絶したりしていた(気絶が割合としては多かったように思う)。その間に予定があってアメリカ本土に行ったり、胃炎になったり、ブログどころではなかったのである。

酒も全く飲まなかったし、胃炎期間中は食事もしなかったので、生活費に関していうと非常にポジティブな生活ではあった。

キャンプ

色々と一段落した先週末、博士課程の友達Kくん家族がキャンプに行かないかと誘ってくれた。父Kくん、学校の先生をしているお母さんMさん、めちゃくちゃ口の立つ息子の小学生Iくんの一家にはこの数年間、常々お世話になってばかりである。

日曜の午後、ホノルルから1時間ほどの、ノースショアのほうのキャンプ場に着く。

数年前にこの近くで公営キャンプ場(ハワイは公営のキャンプ場がほとんどで公園の中などにあったりする)でキャンプしたときには、キャンプ場が幹線道路の前で、目の前にセブンイレブンはあるわ、夜はガラは悪いわ、トイレは詰まるわ、と全然風情もなく、楽しめなかった。

しかし、今回はビーチの目の前で、なおかつパインツリーに囲まれた立派なキャンプ場だ。


ホテルじゃないので、3人分の予約で黙ってチェックインしようとしたら、小学生Iくんが「Yukiおじさんもいるから実際には4人だよ」と余計なことを言って追加料金を請求される。

Kくん家族の新兵器、大型タープを張って早速、ビールを飲む。キムチスパムむすびも振る舞われる。うまい。テントを張って、Iくんとサッカーぽい遊びに興じる。楽しい。一昨日まで、読書室でブツブツ言いながらパソコンに向かっていたのが嘘のよう。

焚き火に大興奮

その後、男子3名は夜の焚き火のため、木を探しに海岸に行く。「うわー、ここにめっちゃ貝いるよ!」、「見てみて!マングースの死骸が!!」などと子供のように楽しんだが、考えてみると3人中2人はオッサンだ。

その後はIくんの招きで、テントの中でお絵かきタイム。昨年ぐらいから、Iくんはわたしのことをお絵かき友達、いわゆる絵フレと思っているフシがある。


はしゃぐIくん。テント内を水色の絵の具で塗ってしまう。わたしは、「それマジでやばいよ」と青ざめるが、Iくんはどこ吹く風である。

案の定、直後に犯行が発覚。「これなに?」と、両親から詰問されるIくん。余計なことを言うとヤバいことになりそうだ、と夕日を見ているフリをするわたし。

怒られたIくんと二人で追加の焚き火の木を取りにビーチに行く。ボソッと「さっきはクレヨンの件黙っててくれてありがとう」とIくん。やはり絵フレか。



たまたまハワイは歴史的な大寒波到来中。普段ならまったく必要ない焚き火もバッチリで最高。夕飯にはMさん特製ポークリブや自家製キムチなどが振る舞われ、これも最高。

その後はIくんお待ちかねの スモア(焼いたマシュマロとチョコとグラハムクラッカーのアレ)をつくったりしながら延々飲み続ける。

途中、焚き火の木がなくなったので探しに行ったが、この時点で小学生Iくん以外は各自ビール多量とワイン1本分くらいは飲んでいたので絶好調。「うわー、Kくん〜〜!めっちゃでかいパインツリー落ちてるよ〜」、「おぉぉー、さっきここにあるの見たんだよ!!」みたいな。



普段、Kくんは学部生に社会学理論を教えたり、わたしがそのTAをしたりしているのだが、パインツリーの枝を見つけて大喜びしているわれわれの姿は、決して見せられない。

楽しい夜は更けていった。

Iくんはすごいね

Iくんは会話が高度である。

マウナケア山の山頂にTMT(Thirty Meter Telescope)という巨大望遠鏡を作ろうという計画があり、ハワイの先住民にとって聖なる場所であるマウナケアに巨大建築物を造り、エコシステムを破壊することに反対している人は多い。この話題をめぐり、「デカい望遠鏡があったほうが楽しいから作ってもいいじゃない」、というIくんに、両親がなぜダメなのかを論理的に説明する、というのが夕食時の主な会話であった。

小学一年生だよ。

翻って考えてみると、自分が子供の頃は、はるかにバカだった気がする。

それに、うちは二人兄弟というのもあるが、Iくんほどいろいろな事柄を論理的に説明してもらったことはない気がする。Iくん的な面倒な質問はしていただろうが、答えは「そういうもんだからだよ」、もしくは無視くらいの感じだった気が(まぁ正確には覚えていないが)。

キャンプもよく行ったけど、いつでも遠くに行きすぎないように見守られているIくんと違って、キャンプ場の中で置き去りにされたことも何度もあったし、あれは泣けたなぁ…。

社会学者アネット・ラローがミドルクラス、ワーキングクラス、貧困家庭の子育ての仕方の違いを調べた超有名な研究がある。

怒られそうだが、めちゃざっくり言うと、ワーキングクラスの家庭の子育ては、ほったらかしに近い傾向があるのに対して、ミドルクラスとかアッパーミドルクラスの親は、Concerted Cultivationという、子供をある種の開発されるべき「プロジェクト」のようにとらえて、その能力を引き出すような子育ての仕方をしている傾向がある。それが長い目で見ると、教育や労働などの制度を通して不平等の再生産につながるという話である。

たとえば、子供から面倒な質問をされて、いい加減に答える、無視をする。子供が間違えたとき、親が代わりにやり直す。経済的・時間的余裕がない家庭では単純にそうせざるを得ない。

余裕のある家庭では、子供が質問を理解できるようにかみ砕いて論理的に説明する、勝手にやってしまうのではなく、説明して自分でやらせる。いろいろな集団的アクティビティに参加させる。病院などで、親が病状を説明するのではなく、子供が自分で説明をする助けをする。

そうした積み重ねが、子供の自信につながるし、また、たとえば学校や職場などでの「権威」とわたりあうことを容易にするというのである。

Iくんを見ていると、「本当にそういうのってあるな〜」と思う(ぼんやり)。Iくんの枝を間違えて焚き火してしまって、Iくんご機嫌超斜めのときも、ものすごく論理的に「なぜそうなったのか」、「今からできることは何か」を説明されてたし。


「昔の僕だったら普通に怒られて終わりだな〜。なんか差を感じるな〜」と、ゆらめく焚き火を見ながら思った(ぼんやり)。そもそもキャンプ自体、ミドルクラス的な遊びなんだろうけど。

とはいえ、実際、自分の子供がいたらと思うと、あんな論理的な説明をいちいちするのは絶対無理だな。めんどくさい。かっこいい枝を焚き火しちゃったとか、正直どうでもいいし。まぁ、絵フレ扱いになる可能性も高いので心配いらないか。

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