全州(チョンジュ)紀行〜ハウォンさんと彼氏と、時々ソンベ〜


チョンジュでお世話になったハウォンさん、彼氏、ソンベ。感謝である

さて、韓国でフィールドワーク中である。

住んでいる下宿のカビがすごくて健康が心配だ(これについてはまた今度書きたい)。あと、せっかくフィールドワークに来ているのに部屋にいてもしょうがない。だから夜になると家から歩いて15分ぐらいサンス駅というところにあるバー、ディディダに遊びに行く。居心地がいいし、韓国語の勉強になる。

ディディダ

日本に3年留学していたという僕よりもちょっと年上のサジャンニム(社長の意、めちゃいい人)がいるのだが、広くて汚い店内にはいつも常連客しかいない。サジャンニムのツーリング仲間がほとんど。あとはホンデという下北沢と原宿を混ぜたようなところにある場所柄か、ミュージシャンとかマジシャンとか小説家とか変わった若者たちがカウンターを占拠している。

ビール1杯300円と安い。しかし、常連はコーヒーしかたのまず数時間おしゃべりをして帰っていく。もっとひどい人になると他の人の飲みかけを飲んでいる。オーナーもやる気がないのかあまり気にしていないようだ。ちゃんと注文してくれる常連以外のお客さんを大事にするべきじゃないかと思うが、常連以外のお客さんがいると店内でタバコが吸えないので(ソウル市は条例で店内喫煙禁止)サジャンニムは常連以外に愛想がない。

「大丈夫か?」と思うが、大丈夫ではない。残念ながら本日をもって閉店である。「4年前に来てから家賃が2倍になったのでちょっともう…」とサジャンニム談。それもあるけど何も頼まない常連のせいじゃないかしら…?

ハウォンさん

先週の金曜日、ディディダにて。

「あんまり仕事がなくて、5年間ネットサーフィンが仕事みたいな感じで退屈だったんで」日本の会社を辞めて韓国に来てしまった同じ下宿のTくんと飲んでいた。韓国語の2種類の「ン」の音が全く発音できないTくんと私に、ミュージシャンの若い女性、ハウォンさんとサジャンニムが一生懸命発音矯正してくれていた。

そのとき「全州に行きたいんですよね〜」なんて話をしたら、ハウォンさんが、「明日彼氏の公演で全州にいくからあんたたちも来なさい」とのこと。「私のソンベ(先輩の意)が全州にいるから行けば大丈夫!」らしい。

全州はソウルから200kmちょっと離れた百済時代に栄えた都で、「味の都」といわれているらしい。サジャンニムと僕の大学院の指導教官が、「全州は韓国で一番食べ物がおいしい」といっていたから興味があったのだ。

彼氏は韓国ではかなり有名なバンドのギタリストらしく、サジャンニムいわく「50年ぐらい続いてるバンドですね」だって。ということは彼氏は70代か?

謎が多いがなんだかおもしろそうなので全州についていくことにした。夜1時くらいになって、ビールを4杯飲んだのに「これ1杯目だよね?」と何度もサジャンニムに聞いて呆れられていたハウォンさん、明日になっても覚えているか心配である。


いざ全州

キム・チャンワンバンドの打ち上げ

彼氏は、キム・チャンワンという有名な歌手/俳優のバンドでギタリストをしてるらしく、キム・チャンワンが50年ぐらいやっているが、彼氏は後から加入したというのが真相であった。

イベントはこちらのテレビ局のコンサート企画のようで、チケットは売り切れと聞いていたのだが、どこで手に入れたのかハウォンさんが当日2枚プレゼントしてくれた。

キム・チャンワンの人気はすごかった

ハウォンさんは「コンサートは6時から1時間だから終わったらご飯行こう!」といっていた。しかし実際には7時半から2時間半の長丁場。どうなってるんだ…?10時近くにコンサートが終わり、これから打ち上げだから『ユチョン・マッコルリ アジョン店』にタクシーで来いと言われるも、地図を見たら街の反対側である。ハードルが高い…。

案の定、タクシー運転手にあまり話が通じず、『ユチョン・マッコルリ 本店』に行ってしまった。心配したハウォンさんが電話をかけてきて、「運転手を電話に出して」というので道を確認してくれるのかと思ったら、例のハウォンさんのソンベが運転手をどやしつける激しい声が通話口から漏れ聞こえる。急に平身低頭になり「ゴメンよー」と謝りまくる運転手。こちらが申し訳ない気分になった。

ずうずうしくも打ち上げでキム・チャンワン氏のおごりでタダ飯を食わせてもらった。

前日、ハウォンさんが、宿は「行って ”まけてください!(サゲヘジュセヨ)” といえば安く泊まれるとこがあるから心配しないで」と言っていた。これを「ヘジュセヨ作戦」と呼んでいたのだが、本当にハウォンさんが見つけたラブホテルまでついてきてくれて、受付のおばちゃんに「ヘジュセヨ」したところ3000円ほどで泊まることができた。

全州で絵描きをしているというハウォンさんのソンベ −強いて言うなら見た目はお笑い芸人のジャルジャルの怖そうな方に似ている− は本当にいい人だった。

全州のソンベ

翌朝、ヘジュセヨラブホテルで一人目覚める。ハウォンさん、彼氏、ソンベの3人が昼飯に連れて行ってくれるというので朝11時くらいからコーヒー屋で時間をつぶしていたものの、3人があらわれたのはもう2時になろうかというころであった。芸術家たちよ…。

お昼を食べ(辛いカルビを煮たやつ)、コーヒーを飲んだ我々は自由観光タイムとなった。全州名物の韓国の伝統家屋、韓屋村を見てみたかったのだ。しかし、前日のタクシー事件で信用を失った我々は「お前らはタクシー乗るな!」とソンベからタクシー禁止令を言い渡される。「俺の自転車貸してやるから自転車で行け」とのこと。「いや、悪いんでタクシーで」といっても「タクシー、ダメ」と聞いてもらえない。

お言葉に甘えてソンベのアトリエに行き、かっこいい高級自転車を貸してもらった。ちなみにこのときソンベの犬のウンコを踏んづけて気がつかないまま歩き回り、ソンベのアトリエにダメージを与えてしまった。

ソンベ号1と2

「よし!行くぞ!」といさぎよく出発したものの、エイヤエイヤとこいでいたら2分ほどで韓屋村に着いてしまった。どうやらソンベのアトリエと韓屋村は徒歩5分くらいの距離だったようである。韓屋村は週末の渋谷駅前のごとく混雑しており、「自転車邪魔だなぁ…」と同行のTくんのぼやきがとまらない。

韓屋村

さすがにいつまでもお邪魔しても悪いし、Tくんが「夕飯に一緒に行くとまた辛いものが出てくるかもしれない」とびびっていたので夜の電車でソウルに帰ることにした。

ソンベが「じゃあ最後に仕事見てけ」という。南部市場というところで週末の7時から11時まで仕事をしているという。何の仕事かとおもったら、観光客の似顔絵をその場で描く屋台をやっていて、大人気だった。なかなか本業の絵だけでは生活が難しいのだろう。真剣に似顔絵を描くソンベを見て私も頑張らなければと思った。

大人気のソンベの屋台

Tくんはちゃっかりソンベに似顔絵を描いてもらっていたが、「お前俺の名前ソンベじゃないってわかってるよな?」と詰められていた。お世話になったソンベとハウォンさんたちに花屋で見つけたこの謎の植物をプレゼントする。Tくんは「最近こういうの流行ってますよ」と言ってたけど本当だろうか。

インパクト重視

マッコリを飲んで帰路につく。一人900円ほどのマッコリセットは巨大なやかんにはいったマッコルリとおつまみが大量についてきた。

おいしかったが、全部珍味でクセがすごい

ともあれ、大変楽しい全州への旅だった。全然知らない人をこんなに面倒見てくれるなんて韓国の人は本当に優しい。今度何かで恩返ししたい。

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