トランプ就任式とハワイ発のウイメンズ・マーチ

先週金曜日はトランプの就任式だった。就任式でもなぜかネクタイが異様に長かったり両面テープでとめてあったりと、おもしろいではあるのだが話題がすべてどうでもいいことに集中してしまうのはなんとも困った問題である。以前お伝えしたように金曜日は仕事や学校をボイコットしてトランプに抗議しようという運動が全米中であり、私も一部参加してきた。

リベラルは真面目すぎるか

朝起きた私はまず社会学の大学院生たちが準備した、ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ)という運動のホノルルでのリーダー格のプレンティス・ヘムフィルさんのティーチ・インを見に行った。しゃべりが上手で、人種主義と資本主義の関係や国家が企業の強欲にのっとられている問題など難しいテーマをわかりやすく話してくれて、司会の社会学パイセンSangの活躍もあって素晴らしい会だった。しかし、この内容を大学院生とか大学教授以外の人が聞いて楽しめるだろうか、と考えると、うーんとなってしまう。ティーチ・インというやり方からして、右の勢いある運動に対してリベラル側は「もっと勉強だ!もっと勉強だ!」という感じで頭が良すぎるというか、真面目すぎるのかなと改めて思った。要はつまらない。

トランプを支持する人が自分たちの生活の不安定さと社会の不正義に憤って、ぼんやりとした「変化」をもとめているなら、リベラルを支持してもいいはずである。「左」こそ歴史的に平等の理念を重んじてきたわけだから。しかし世界を見渡してもなぜかそうなっていない。その理由の一つには、こういうリベラル側の真面目感というか頭でっかち感に対する反動からとにかくわかりやすい「右」にいくということもあるだろう。誰だって自分がわからない話を延々とされたら腹立たしい。だからといって半知性主義を肯定するのではないが。

我々も抗議してきた

僕の助手してる授業の先生ニックが、「ハワイ大の教授の中にも抗議じゃ社会は変わらないと書いていたやつがいるけどそれぐらいの歴史的知識もない人間がなんで教授になれるんだ」と憤っていたが、それは言い過ぎにしても、過去数百年の間、ほとんどの大規模な社会変化は政府の政策が一方的に起こしたわけではなく、民衆側からの怒りに動かされて起こってきた。

ということで、抗議は大切であるしお祭り感もあって楽しい。午後はトランプホテルまでの抗議ラリーに一部参加した。音楽もあってなかなかいい感じ。正面に見えるのがトランプホテル。


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このTシャツたちはハワイ大の芸術学部の人たちがボランティアでプリントしてくれて学校でみんなに配ったものである。この日は700人ほどの人がワイキキをマーチした。日本人観光客も驚いていたようでなにより。


ワシントンDCでは一部プロテスターたちが暴徒化したと聞いていたがホノルルではそのようなことは全くなかった。暴徒化した黒ずくめの人たちは誰なんだ、トランプが雇った人たちか、と疑心暗鬼になりかけたが「ブラック・ブロック」といわれるグループの人たちらしい。立命館大学で社会運動を研究されている富永さんが説明する短い記事を書いていて勉強になった

ハワイ発のウイメンズ・マーチ


そして明くる土曜日は世界中でウイメンズ・マーチ。このニューヨーク・タイムズのビデオによれば小規模ながら東京でもマーチがあった模様である。




ワシントンDCのマーチには市当局の発表でも50万人以上が参加してアメリカ史上でも最大規模のプロテストのひとつになった。トランプの就任式より多い。ざまぁ。ホノルルでも8,000人が州政府前で抗議したとのことで、これはホノルルの人口を考えるとすごいことである。


おもしろいのは、この全世界的な運動はハワイの弁護士(リタイア済み)のTeresa Shookさんが選挙直後にFacebook上で就任式の日にマーチしようということを呼びかけたことがきっかけとなって広がりをみせたという点である。アメリカ研究学部の友達が説明してくれたところによると、63年のワシントン大行進とかけてMarch on Washigntonとしようということになりここまで広がったという。いわばハワイ発である。 


マドンナやスカーレット・ヨハンソン(いいスピーチだった)、エマ・ワトソンなどの著名人も参加した。特にすごかったのはアリシア・キーズである。3:00ぐらいからの曲に入るところがとてもかっこいい。



オルタナティブ・ファクト?


しかし、トランプのおもしろさは想像の上をいく。トランプの就任式は人があまりいなくてスカスカだったのだが、自分のTwitterの背景画像にはオバマの09年の就任式の画像を流用。メディアが嘘をついて就任式に参加した人数を不当に低く見積もっていると主張し、対抗するためにこれからはオルタナティブ・ファクト(代替の真実)を自分で発表していくという噴飯ものの珍説をぶちあげた。そしてこのオルタナティブ・ファクトによればトランプ就任式には150万人参列していたのだそうだ。あとからオルタナティブ・ファクトを作り上げればそれが真実になるんだからもはや何でもありだ。


安倍政権や在特会の台頭などでわれわれ日本人にもなじみのある話ではあるが、今回の件では、自分の家族や恋人が自分が思っているのとは真逆の人に投票していたことを知って本当にがっかりしたり悲しくなった人が多いようだ。友人も自分たちと政治的意見の近い親戚だけで話せるFacebookのページを作ろうかと相談していると言っていた。ニューヨーク・タイムズが、トランプに投票した家族に電話をかけて話し合ってみるというおもしろい動画を作っていた。近いからこそ難しいのだが、意外と怖がらずに話しあってみることも大切なように思う。

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