年末旅行記終 アジアのアジア化

というわけでドタバタだった旅行も大体終わり、あとは日本でのんびりしてホノルルへと帰るだけになった。日本では最近はまりまくっているフリースタイルラップバトルの日本一を決める大会の最終予選を見に行き、いつもYouTubeで見てるやつを生で見られて大満足である。最後に今回の旅行の感想を短く書いておきたい。

アジアのアジア化?


今回の旅行を通してアジアのアジア化(Asianization of Asia)というのはすごく大切な概念なのかもしれないと思うようになった。


経済的にも文化的にも「アジア」各国のアイデンティティは「欧米」や「西洋」との対比と結びつきで定義されてきた。個人的にも日本とアメリカという二分法で見てどちらのが進んでいるとか遅れているとか考えてしまう。


アジアのアジア化はこれに対する概念で、アジア域内の統合と結びつきが強くなることによって、欧米でなくアジア各国同士の結びつきが中心的なリファレンス・ポイントとなるという状態らしい。アジアを規定するのは西洋ではなくアジア自身という、ある意味では西洋中心主義的な思考からの逸脱である。もちろんこの関係性の中から西洋が不在になったという意味ではないけれど。今回の旅行でいろいろなところに行き若い人たちと話す機会がある中で、アメリカやヨーロッパは世界の多くの人が自分のアイデンティティを定義する対象として見るような中心点ではもはやなくて、アジアのアジア化は実際に進んでいる重要な事象なのではと思うようになった。



僕の知らないうちにまるかめ製麺は世界中に進出していた

知識


最初にそれを思ったのはフィリピンでの日本研究のカンファレンスである。僕が知っている地域研究というのは主に欧米地域とアジアを比較して、たとえばアメリカに対して日本がいかに変わっているかというような問題関心に基づいているモノが多いが、この東南アジアにおける日本研究のカンファレンスではこの欧米 VS. アジアという視点はほとんど不在であった。基本的な興味関心はアジア域内にとどまっていて、アジアのアジア化である。また、アメリカでの日本研究のような単純な西洋と東洋の比較でなく、日本におけるフィリピン人労働者や、安倍政権の対東南アジア外交など自国と日本との違いよりもつながりを強調した研究が多かったのも興味深かった。


単純に日本が「西洋」のポジションを置き換えているだけで、基になっている権力関係には何の変化もなく異なるバージョンの帝国主義とはいえるかもしれない。しかし、そうだとしても十分注目に値する現象のように思う。


文化


なんといってもアジアのアジア化の代表格はK-Popである。フィリピンでもベトナムでももちろん韓国でもK-Pop的なものの人気はすごい。K-Popのファッションをまねしている若者がアジアのどこにでもいる。我々がベトナムで行った通称「クラブ」でもBIG BANGがかかっていてK-POP的な格好をしたベトナムの若者が踊っていた。


だから何だと言うことはないが、父の会社の忘年会に参加させてもらった際にビンゴでもらった商品は韓国のライン、カカオトークのキャラ入りタンブラーだった。ベトナムで流行っているからとつれていってもらったスポットも抹茶カフェとか巨大なイオンモールとかアジア系のモノが多かった。


僕の世代は親世代の影響もあって、映画やファッションなどの分野における比較対象というのは主にアメリカや西ヨーロッパという感じではないかと思うのだが、アジアにおいておしゃれなもの、進んでいるものの比較点はもはや西洋だけではない。ベトナムは社会主義国なので教育の内容と関係あるのかもしれないが、ベトナムの若者たちのアメリカ・ヨーロッパへの興味のなさというのは大変興味深かった。人によってはアメリカとヨーロッパどちらも西の国々という以上の知識が無く、アメリカとヨーロッパの違いもわかっていないのである。単に地理的・心理的に遠すぎるだけかもしれないが、彼・彼女らのなかには僕が持っているアジア=東洋(遅れている)VS 西洋(進んでいる)というような単純な枠組みは存在してないっぽいのである。


経済


アジア圏内の結びつきの強さをつくりだしているのは一にも二にも経済的統合のようである。これに関しては今回の旅行でそれほど学ぶ機会はなかったが、うちの父がベトナムでヨーロッパや北米からの資本を介さずにビジネスをしているということ自体、アジアのアジア化の一つの証拠といえる気がする。


アジア化?


で、疑問はこれは単なるグローバリゼーションでは説明できないアジアのアジア化というプロセスなのかという点である。これについては今のところよくわからないので今後勉強したい。アジア域内限定での統合という意味では単なるグローバリゼーションとは質的に異なる側面があるようにも思える。同時に、ソウル大学の社会学者Chang教授は、アジアのアジア化というのは「アジア各国が西洋中心的な従属と支配の枠組みからの脱却することと同時に起こる新自由主義グローバル経済システムへの再埋め込み(同時にこのシステムはヨーロッパ・アメリカ中心的でもある)」といっているから、おそらく両方なのだろう。

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